フェリス女学院高等学校 完全ガイド2025年版 – 偏差値・進学実績・学費・受験対策まで徹底解説

Last Updated on 2025年10月20日 by わかる先生

神奈川県屈指の名門女子校として150年以上の歴史を誇るフェリス女学院高等学校。「For Others(他者のために)」の精神のもと、多くの優秀な女性を社会に送り出し続けています。

本記事では、フェリス女学院高等学校への進学を検討している中学3年生とその保護者の皆様に向けて、学校の魅力から受験対策まで必要な情報を網羅的にお届けします。偏差値や進学実績といった基本データから、在校生のリアルな声、効果的な受験対策法まで、公式サイトだけでは分からない貴重な情報をまとめました。

1. フェリス女学院高等学校の基本情報

横浜市中区山手町という歴史ある街に佇むフェリス女学院高等学校は、1870年創立の伝統校です。キリスト教主義の教育理念に基づき、真の自由と自立した女性の育成を目指しています。

学校概要

設立年: 1870年(明治3年)
所在地: 神奈川県横浜市中区山手町178
電話番号: 045-641-0242
教育理念: For Others(他者のために)
校風: キリスト教主義、自由で家庭的な雰囲気

アクセス

最寄り駅:

  • JR根岸線・京浜東北線「石川町駅」元町口から徒歩7分
  • みなとみらい線「元町・中華街駅」5出口から徒歩10分
  • 神奈川中央交通バス(11系統)山手町バス停から徒歩約1分

横浜駅から約7分、大船駅から約24分という好立地で、通学の利便性は抜群です。港の見える丘公園や外国人墓地に隣接する山手の丘という、横浜でも特に優れた環境に位置しています。

教育方針の特色

フェリス女学院の教育は、以下の3つの柱で構成されています:

  1. キリスト教信仰に基づく教育:毎朝25分間の礼拝、週1回の聖書の授業
  2. 学問の尊重:高い学術水準の維持と追求
  3. まことの自由の追求:自主性と責任感の育成

この教育方針により、単なる進学校ではなく、社会に貢献できる女性リーダーの育成を目指しています。

2. 偏差値・難易度・入試情報

偏差値(2025年度)

模試運営会社80偏差値50偏差値
四谷大塚6257
首都圏模試センター7570
日能研6863

平均偏差値は約68で、神奈川県内でもトップクラスの難易度を誇ります。ただし、近年は偏差値にやや変動が見られ、以前と比べて入りやすくなったという声も聞かれます。

入試制度(2026年度)

入試日程: 2026年2月1日(日)※プロテスタントの学校のため、サンデーショックの年は2月2日
募集人員: 約180名
受験科目: 国語・算数・理科・社会(各100点、計400点満点)
入試回数: 年1回のみ(一発勝負)
出願期間: 2026年1月6日(火)9:00~1月22日(木)23:59(インターネット出願)

近年の入試結果

年度受験者数合格者数実質倍率
2025年約360名約180名2.0倍
2024年約380名約185名2.1倍
2023年約400名約190名2.1倍

倍率は例年2倍程度で比較的安定しており、神奈川県の女子校の中では穏やかな競争率となっています。

2026年度入試の重要な変更点

人物考査(筆記および面接)が廃止されることが決定しています。これにより、4教科の学科試験のみでの選考となり、学力重視の入試へと変更されます。

3. 学費・経済的サポート

2025年度学費詳細

フェリス女学院高等学校の学費は、私立女子校としては比較的良心的な価格設定となっています。

項目初年度(高1)2年次以降
入学金300,000円
授業料522,000円522,000円
施設費180,000円180,000円
その他諸費用80,000円80,000円
年間合計1,082,000円782,000円

3年間の総費用シミュレーション

  • 初年度: 1,082,000円
  • 2年次: 782,000円
  • 3年次: 782,000円
  • 3年間総額: 約265万円

この金額は、制服代や教材費は含まれていませんが、神奈川県内の私立女子校の中では標準的な水準です。

奨学金制度

経済的支援が必要な生徒に対して、以下の制度が用意されています:

学校独自の制度:

  • 奨学会奨学金(奨学会運営)
  • 江口奨学金(学校運営)

これらの制度を利用することで、校納金のほとんどをまかなうことが可能です。

公的制度:

  • 神奈川県私立高等学校等生徒学費軽減事業
  • 国の高等学校等就学支援金制度

保護者の声

“学費は私立としては良心的だと思います。初年度は入学金があるので高めですが、2年次からは年間80万円弱で済みます。奨学金制度も充実しているので安心です。”(在校生保護者)

4. 進学実績・進路指導

2024年度大学合格実績

フェリス女学院高等学校の最大の魅力の一つが、圧倒的な大学合格実績です。卒業生数177名という規模を考えると、その実績は驚異的です。

国公立大学合格実績

大学名合格者数
東京大学6名
京都大学4名
一橋大学4名
東京科学大学(旧東工大)5名
横浜国立大学9名
横浜市立大学5名
国公立大学計42名

国公立大学現役合格率は約24%と、非常に高い水準を誇ります。

私立大学合格実績

大学名合格者数
早稲田大学72名
慶應義塾大学81名
上智大学71名
早慶上智計224名
明治大学77名
東京理科大学53名

早慶上智の合格者数は224名(現役合格率108.47%)と、卒業生数を上回る驚異的な実績を記録しています。

医学部・医療系学部

医学部や薬学部への進学も安定しており、毎年数名が国公立・私立の医学部に合格しています。

進路指導の特色

フェリス女学院の進路指導は、「For Others」の精神に基づいた主体的な進路選択を重視しています。

特徴的な取り組み:

  1. 6年間一貫した進路指導:中学時代から将来を見据えた指導
  2. 個別面談の充実:生徒一人ひとりの適性と希望を重視
  3. 卒業生ネットワーク:様々な分野で活躍する卒業生との交流
  4. 大学との連携:大学教授による特別講義や研究室見学

在校生の声

“先生方は進路について押し付けることなく、私たちの意見を尊重してくれます。模試の結果だけでなく、将来何をしたいかを一緒に考えてくれるので安心です。”(高3在校生)

5. 学校生活・校風

自由で家庭的な校風

フェリス女学院の最大の魅力は、自由で家庭的な校風です。「まことの自由」を掲げ、生徒の自主性を重んじる教育が行われています。

校則について

他校と比較して非常に自由度が高いことで知られています。

校則の特徴:

  • 髪型の規定なし:パーマや染髪も基本的に自由
  • スカート丈:膝丈が基本だが、厳格なチェックはなし
  • 携帯電話:校舎内では使用禁止だが、実際の運用は緩やか
  • アクセサリー:過度でなければ着用可能

制服

伝統的なセーラー服を採用しており、創立以来ほとんどデザインが変わっていません。

冬服:

  • 紺色のセーラーカラー
  • えんじ色のリボン
  • 左肩に校章の刺繍

夏服:

  • 水色のセーラーカラー
  • 黒のリボン
  • セーラー下にアンダーベスト着用

袖口の斜めに入った3本ラインが特徴的で、フェリス生のシンボルとなっています。

年間行事

フェリス女学院では、生徒主体の活発な行事が年間を通じて開催されます。

主要行事:

  • 体育大会(5月):6学年合同の大規模イベント
  • フェリス祭(文化祭)(9月):生徒の創造性が光る学園祭
  • 合唱コンクール(12月):クラス対抗の合唱大会
  • 修学旅行:高1で広島方面への平和学習
  • 理科宿泊研修:中3で上高地での自然学習

部活動

文化系部活動が充実しており、特に音楽系の部活動が活発です。

人気の部活動:

  • オーケストラ部:本格的なパイプオルガンを使用
  • 演劇部:高いレベルの舞台制作
  • ESS(英語部):国際的な活動が活発
  • 美術部:創造性豊かな作品制作

ただし、日曜日は基本的に活動禁止のため、運動部の対外試合は限定的です。

在校生の生の声

“本当に自由な学校です。みんな個性的で、人と違うことを言っても面白いと受け入れてくれる環境があります。宿題も多くないので、自分の好きなことに時間を使えます。”(中3在校生)

“先生方は質問に行けば、分からないところをしっかり教えてくれます。スカート丈も特に厳しくなく、のびのびと学校生活を送れています。”(高2在校生)

6. ライバル校との比較

神奈川県の女子校受験において、フェリス女学院と比較検討されることの多い学校をご紹介します。

主要ライバル校比較表

学校名偏差値特色大学合格実績
フェリス女学院68キリスト教主義、自由な校風早慶上智224名
洗足学園70-72帰国子女教育、国際的早慶上智200名超
横浜共立学園65キリスト教主義、伝統校早慶上智150名程度
横浜雙葉63カトリック系、品格重視早慶上智100名程度

洗足学園との比較

共通点:

  • 神奈川県トップレベルの女子校
  • 優秀な大学合格実績
  • 2月1日、2日の併願パターン

相違点:

  • 教育方針: フェリス(伝統的キリスト教)vs 洗足(国際教育重視)
  • 校風: フェリス(自由で家庭的)vs 洗足(進学重視)
  • 入試: フェリス(1回のみ)vs 洗足(複数回実施)

慶應義塾湘南藤沢(SFC)との比較

東京・神奈川の難関校併願パターンでは、慶應SFCも検討対象となります。

比較ポイント:

  • 系列: フェリス(フェリス女学院大学系列)vs SFC(慶應義塾大学系列)
  • 内部進学: フェリス(ほぼ外部受験)vs SFC(約半数が慶應大学進学)
  • 校風: フェリス(伝統的)vs SFC(革新的)

7. 効果的な受験対策

科目別対策法

算数

出題傾向:

  • 基本計算から応用問題まで幅広く出題
  • 特殊算、図形問題、思考力問題が中心
  • 2025年度は易化傾向(受験者平均64点)

対策法:

  1. 基礎計算力の徹底:四則混合計算の正確性向上
  2. 特殊算の完全理解:比と割合、速さ、場合の数を重点的に
  3. 思考力問題の対策:過去問10年分を3周以上
  4. 図形問題の強化:立体図形と平面図形の融合問題

おすすめ教材:

  • 基礎: 四谷大塚「予習シリーズ」
  • 応用: SAPIX「有名中学入試問題集」
  • 思考力: 「算数思考力検定」過去問

国語

出題傾向:

  • 長文読解(物語文・説明文)
  • 200字程度の記述問題
  • 文法・語彙問題
  • 2025年度から作文が復活

対策法:

  1. 読解力の向上:多様なジャンルの文章に慣れる
  2. 記述対策:根拠を明確にした答案作成練習
  3. 文法の徹底:選択問題の論理的解法と記述の正確性向上
  4. 作文練習:主題把握と構成の型の習得

おすすめ塾:

  • 記述対策: 早稲田アカデミー、SAPIX
  • 基礎固め: 四谷大塚、日能研

理科

出題傾向:

  • 物理・化学分野の計算問題が頻出
  • 記述・作図問題が多い
  • 実験観察に基づく思考問題

対策法:

  1. 計算問題の強化:速さ、質量、体積の計算を重点的に
  2. 実験の理解:現象の原理を論理的に説明できるように
  3. 記述練習:実験結果の考察を正確に表現

社会

出題傾向:

  • 近現代史の統計資料問題
  • 地理的知識と時事問題の融合
  • 表・グラフの読み取り問題

対策法:

  1. 統計データの暗記:農産物生産量、工業製品出荷額
  2. 資料読み取り:教科書のグラフ・表を徹底分析
  3. 時事問題対策:新聞やニュースの定期的チェック

過去問活用法

実施時期: 9月以降本格開始
実施回数: 最低10年分を3周
注意点:

  • 4科目連続で解く練習を重視
  • 時間配分の訓練
  • 間違い直しノートの作成

併願校パターン

パターン1:同レベル校チャレンジ型

  • 1月: 浦和明の星、渋幕①
  • 2月1日: フェリス女学院
  • 2月2日: 豊島岡①、洗足②
  • 2月3日: 豊島岡②

パターン2:安全校重視型

  • 1月: 栄東A、市川①
  • 2月1日: フェリス女学院
  • 2月2日: 横浜共立B
  • 2月3日: 普連土③、品川女子③

パターン3:神奈川県内集中型

  • 1月: 栄東A
  • 2月1日: フェリス女学院
  • 2月2日: 洗足②
  • 2月3日: 横浜共立B
  • 2月5日: 洗足③

8. よくある質問(Q&A)

Q1. フェリス女学院はキリスト教徒でないと入学できませんか?

A1. いいえ、宗教は問いません。ただし、キリスト教の価値観に基づく教育が行われるため、毎朝の礼拝や聖書の授業への参加は必須です。多くの生徒が非キリスト教徒ですが、充実した学校生活を送っています。

Q2. 大学受験のサポートはどの程度ありますか?

A2. フェリス女学院は自主性を重んじる教育方針のため、手厚い補講は多くありません。しかし、質問に行けば先生方は丁寧に指導してくださいます。多くの生徒が塾や予備校を併用していますが、学校の授業だけでも十分な実力がつきます。

Q3. 部活動はどの程度活発ですか?

A3. 文化系部活動は非常に活発です。特に音楽系の部活動では本格的なパイプオルガンを使用できます。ただし、日曜日は基本的に活動禁止のため、運動部の対外試合は限定的です。

Q4. 偏差値が下がっているという噂は本当ですか?

A4. 近年、偏差値に変動が見られるのは事実です。しかし、これは入試の多様化や受験生の志向変化によるもので、教育の質や進学実績は依然として高水準を維持しています。

Q5. 内部進学はありますか?

A5. フェリス女学院大学への内部進学制度はありますが、ほとんどの生徒が外部大学を受験します。2024年度は約95%の生徒が外部大学に進学しており、内部進学者は非常に少数です。

Q6. 学費以外にかかる費用はどのくらいですか?

A6. 制服代(約8万円)、教材費(年間約5万円)、修学旅行費(約15万円)などが別途必要です。部活動によっては用具代や合宿費なども発生します。

Q7. 入試で面接がなくなると聞きましたが?

A7. 2026年度入試から人物考査(筆記および面接)が廃止されます。これにより、国語・算数・理科・社会の4教科のみでの選考となり、より学力重視の入試に変わります。

Q8. どのような生徒に向いていますか?

A8.

  • 自主性があり、自分で考えて行動できる生徒
  • 多様性を受け入れ、他者を尊重できる生徒
  • 将来社会に貢献したいという志を持つ生徒

フェリス女学院では「与えられた自由をどう使うか」が重要視されます。

9. まとめ

フェリス女学院高等学校は、150年以上の伝統と「For Others」の精神に基づく教育により、真の意味で自立した女性を育成する名門校です。

フェリス女学院の魅力まとめ

  1. 圧倒的な進学実績: 早慶上智224名合格という驚異的な実績
  2. 自由で家庭的な校風: 生徒の個性と自主性を重んじる環境
  3. 歴史と伝統: 150年以上にわたって培われた教育ノウハウ
  4. 恵まれた環境: 山手の丘という素晴らしい立地
  5. 良心的な学費: 私立女子校としては比較的リーズナブル

受験を検討する際のポイント

  • 一発勝負の入試:年1回のみの入試のため、体調管理と併願戦略が重要
  • 自主性重視の校風:手厚いサポートより自立を重んじる教育方針の理解
  • キリスト教教育:宗教的背景への理解と受け入れ

フェリス女学院高等学校は、単なる進学校ではなく、社会で活躍できる女性リーダーを育成する学校です。自由な校風の中で自分らしく成長し、将来「他者のために」貢献できる女性を目指すお子様には、最適な環境といえるでしょう。

受験を検討される際は、ぜひ学校見学や説明会に参加して、フェリス女学院の雰囲気を直接感じてみてください。きっと、この学校でしか得られない貴重な6年間を過ごすことができるはずです。


参考資料:フェリス女学院中学校・高等学校公式サイト、各種模試データ、受験情報サイト、在校生・卒業生・保護者の声